アインシュタインという科学者が見つけた、ふしぎなきまりです。「光の時計」を動かして、自分の目でたしかめてみよう。
電車 時速100km + ボール 時速30km
= 外から見ると 時速130km
速さは足し算になる。ふつうの感覚どおり。
電車の速さ + 光の速さ
= 外から見ても 光の速さのまま
足し算にならない。実験でなんどもたしかめられている。
光はだれから見ても、いつも同じ速さです。その速さは1秒で30万km。1秒で地球を7周半まわれるほどです。
この「光の速さはかわらない」というきまりから、ふしぎなことがおこります。
ふつうの時計は、秒針が「チク、タク」と1回動くたびに時間を数えます。ここでは、光で時間を数える時計を考えます。上と下に鏡があって、光が下から上へ行き、また下にもどってくると「チク」と1回。この「チク」が、この時計の1目もりです。
2つとも同じ時計です。ちがうのは、1つはホームにおいてあり、もう1つは走る電車にのっていること。どちらも、ホームに立っている人から見たようすです。
電車の時計は、ホームの時計より 1.7 倍ゆっくり進んでいます。
電車にのっている人から見ると、光はまっすぐ上下に動いていて、自分の時計はふつうに進んでいます。ゆっくりに見えるのは、外から見たときです。
時計がこわれたわけではありません。電車の中では、心ぞうのドキドキも、ごはんを食べる速さも、ぜんぶいっしょにゆっくりです。時間の進み方そのものが、見る人によってちがうのです。
時間がずれると、つじつまを合わせるために長さもずれます。とても速く走る電車は、外から見ると進む向きにちぢんで見えます。
光の速さにくらべると、わたしたちのまわりのものは、ものすごくおそいからです。
| 速さ | どれくらいゆっくりになる? |
|---|---|
| 新幹線(時速300km) | 1年のりつづけて、やっと100万分の1秒くらい |
| 光の速さの 50% | 外の1時間が、電車の中では約52分 |
| 光の速さの 90% | 外の1時間が、電車の中では約26分 |
| 光の速さの 99% | 外の1時間が、電車の中では約8分半 |
スマホの地図は、宇宙をとぶGPS衛星の時計をつかって、いまいる場所を計算しています。衛星の時計は、地上の時計とずれて進みます。
1マイクロ秒は100万分の1秒。そんな小さなずれでも、なおさないと地図の場所が1日で約10kmずれてしまいます。だからGPS衛星の時計は、相対性理論の式でこのずれを計算し、宇宙で地上の時計と同じ速さで進むように、進み方を調整してあります。
重力が強いところほど時間がゆっくり進む、というのも相対性理論のきまりです(一般相対性理論)。
GPSのほかにも、身のまわりや病院、研究所に、相対性理論がかくれています。タグは、理論のどの部分がはたらいているかです。
金の原子の中では、電子が光の速さの半分以上で動いています。その影響で青い光を吸いこみ、黄色っぽく見えます。相対性理論がなければ、金は銀のような色だと計算されています。
体温計に使われていた水銀が、ふつうの温度でとろとろの液体なのも、同じ電子の速さのせいです。この効果がなければ、80℃くらいまでとけない固体だったと計算されています。
多くの車にのっている鉛のバッテリー(鉛蓄電池)は、1つの部屋で約2ボルトの電気を出します。そのうち約8割は、鉛の電子の相対性理論の効果から生まれていると計算されています。
太陽の中では、水素がくっついてヘリウムになるとき、ほんの少し重さが消えて、光と熱になります。その量は1秒で約400万トン。この光で地球の生き物は生きています。
ウランの原子がわれるとき、重さが少しだけ消えてエネルギーになります。もし1グラムの重さがぜんぶエネルギーになると、ふつうの家の約6400年分の電気になります。
薬から出る「反電子(陽電子)」が体の中の電子とぶつかると、2つの重さがそのまま光(ガンマ線)になって飛び出します。その光をとらえて、がんのある場所をうつし出します。
炭素のつぶを光の速さの約70%まで加速して、がんにだけ当てる治療です。そこまで速いと、ふつうの計算では動きがずれるので、加速器は相対性理論で設計します。佐賀県鳥栖市のサガハイマットでも行われています。
宇宙から来る「ミューオン」というつぶは、ほんとうは空の上で生まれてすぐこわれます。でも光に近い速さで飛ぶので時間がゆっくりになり、地上までとどきます。このつぶを使って、エジプトのピラミッドの中にかくれた空間を見つけたり、桜島の火山の中をしらべたりしています。
日本で生まれた、とても正確な「光格子時計」を東京スカイツリーの展望台(高さ約450m)と地上においてくらべると、上の時計のほうが1日に約10億分の4秒はやく進みました。時計のずれから、土地の高さや、火山で地面が持ち上がるようすをはかる研究が進んでいます。
相対性理論は「時空のさざなみ(重力波)」と「ブラックホール」を予言しました。重力波は2015年に初めてとらえられ、日本でも岐阜県のKAGRAがさがしています。2019年には、日本の研究者も参加したチームが、ブラックホールの写真をはじめて発表しました(さつえいは2017年)。
「好きな人といる1時間は1分みたい。熱いストーブにさわる1分は1時間みたい。それが相対性だ」。アインシュタインがこう説明した、という話が有名です(本人が言ったというたしかな記録は見つかっていません)。
でもこれは、相対性理論のなかみとはべつのものです。
| 楽しい時間があっという間 | 相対性理論 | |
|---|---|---|
| かわるもの | 時間の感じ方(心) | 時計の進みそのもの |
| 時計ではかると | ちゃんと1時間 | ほんとうに時計がずれる |
| 本人は気づく? | 「もう終わり?」と感じる | 気づかない。自分の時計はふつうに進む |
楽しい時間が短く感じるのは、心理学でしらべられている、心のはたらきです。夢中になっていると時間のことを気にしないので短く感じ、たいくつだと時間のことばかり気になるので長く感じる、と考えられています。
にているのは「時間の長さは、見る立場でちがう」という考え方だけ。だから、相対性理論のたとえ話としてよく使われます。
光の速さは、ぜったいにかわらない。
そのかわりに、時間と長さのほうがかわる。
それが相対性理論です。
おうちの方へ:ページの数字は、下の論文や公式ページで確かめました。時間のずれや長さのちぢみの数字は、アインシュタインの式で計算したものです。